生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談⑤

本エントリが最後です。使用患者が感じたミレーナの長所と短所、使ってからの生活の変化をお話しします。

 

◯実際ミレーナってどうなの

 医師は出血が止むかは人それぞれと言いましたが、私は挿入から二ヶ月ほどで止みました。それから半年経つ今まで、出血に関しては月一で血の混じったおりものが少し出る程度です。それに伴い、弱い鎮痛剤で治る程度の腹痛も二回ほどありました。

ミレーナ使用者には定期検診が必要なので、私は挿入1.3.6ヶ月、そして今後一年ごとの検診(エコーと問診)を受けます。

しかし、体に毒と分かっていながら多量の鎮痛剤を飲むことも、出先やベッドで経血が漏れるかもと怯えることも、この先5年あり得ないのです。素晴らしいことです。


 生理のない生活は私の人生を変えました。

ミレーナを挿れてから運動を始めました。生理がないのでスケジュールを乱されずに継続できます。
ミレーナはPMS(生理前にイライラしたり体調が悪くなること)には効かないと聞いたことがありますが、「あと数日で私は激痛に見舞われる」という不安がなくなったからか、かなり楽になりました。

もう「ここの数日間、私は激痛で動けない」を考慮して予定を組むことは無いのです。


 ミレーナが全ての女性に適しているとは思いません。すべての薬と同様ミレーナにも一定のリスクがあります。いち患者が思うメリットとデメリットを並べます。


メリット
・低用量ピルと違い服薬が要らない。
・異物感はない。
・人によるが、経血も生理痛もほぼなくなる。本気で生理を忘れられる。

デメリット
・手術と術後が生理痛より痛い
・定期検診が必要
・ミレーナが万一ズレると、性交時に装具の先が触れて相手が痛い思いをすることもあるらしい。パートナーには説明が必要

いいことだけではないミレーナですが、少なくとも私の人生には最適でした。月経困難症に悩む女性にとって優れた選択肢の一つだと思います。よかったら検討してみてください。


 おわりに。私がこのエントリを書きながら不安なのは、月経困難症をなんとかしようと勇気を振り絞って婦人科に行った貴方が辛い思いをしないかということです。とくに初めて婦人科に行く貴方。

私は運がいい方でしたが、患者の痛みを軽んじたり治療方針を押し付ける婦人科医は存在します。もしも貴方を傷つける医師に出会ってしまったら、何も考えず逃げてください。貴方は何も悪くないです。

Googleレビューなどを参考に、新たな婦人科を探してください。それは大変な作業でしょうが、どうか自身の心を守ってください。少なくとも、いい年こいて自分と他者の境界も分からない医師のもとで消耗する必要はありません。

貴方の月経困難症に最適な治療法が見つかることを、そして貴方の痛みに向き合い、対等に治療を進める医師が見つかることを心より祈っています。

生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談④

◯術中・術後、定期検診

 検査結果で異常なしと判定されたら、二回目の受診で手術です。ミレーナ挿入には適切な時期があるようで、私は月経が終わってすぐに来るよう言われた気がします。
内診台に座ると、前回と違い助手の看護師が控え、ライトが私の股を照らしていてちょっとウケました。嘘です。ウケたのは文章を書いている今で、手術当時は物々しさに緊張したのを憶えています。

エコーののち、金属の棒(多分、マジックハンドみたいな)が膣に入れられます。膣の奥にあたると、その棒が子宮口を拡げるのですが、これが死ぬほど痛い。
この痛みは膣を拡げる痛みとは別でしょうから、性交経験のある方でも痛いだろうと推測します。おそらくは、がん検診に似た痛み...でしょうか。しかし手早く処置をしてくれたので、痛みは1分と続きませんでした。

ミレーナがはいったらエコーで再度確認し、手術は終わりです。内診台に座ってから、5分と経っていないと思います。


 さて、無事にミレーナが入り、診察室を出ました。しかし、子宮口の拡張が終わって一度は引いた痛みが再び現れます。最初は生理痛程度の痛みだったのが、段々と立てないほどの痛みに。
苦しみながら会計を済ませて病院を出ました。

ここからが大変でした。念のためにナプキンをつけようとモールのトイレに座ると、(結局、私は術後すぐの出血はなかった)もうあまりの痛みに動けません。
イブプロフェンを2錠、4錠とのみましたが一向に効かず、痛みはひどくなる一方。仕方なく、フラつきながら電車で帰宅。

帰宅して普段の月経痛に処方されている強い鎮痛剤を6時間に10錠はのみましたが無意味でした。(真似しないでください)
結局その日は軽い食事だけして寝ていました。半日もすると痛みはマシになり、翌日の午後にはごく軽い生理痛程度になっていたと思います。

これを踏まえ、やっておけばよかったことリストです。

・ナプキンは手術前に貼っておく
・手術後に予定を入れない。できれば次の日も
・術後に強い痛みが出たらどうすべきか医師に聞いておく。適切な鎮痛剤があるなら処方してもらう。(事前に!!)
・家族に迎えを頼むか、タクシーを呼ぶ

特に上三つは強くお勧めします。


 さて、術後の激痛を乗り越えましたが、その後も軽い痛みは止みません。結局二週間程度はごく軽い生理痛と共に過ごし、一ヶ月半は軽い出血がありました。しかし、これらの「軽い生理」ふうの症状は、子宮口を拡げた衝撃というより、ミレーナの作用のようです。
エコーでミレーナの位置をチェックする術後一ヶ月検診では、医師に「完全に生理が止まる人もいれば、貴方のような軽い出血がずっと続く人もいる。貴方も、今後出血が止むかどうかは分かりません」と言われました。


 以上が私の術中術後と初回定期健診のレポートです。結果として、出産経験なしでミレーナを挿れるのは、生理痛より痛い。立てない眠れない1日でした。ですが痛みは一度きりのもの。私は最終的に、ミレーナを使用して心底良かったと思っています。

次回が最後です。生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談⑤ - mizunitsuyoi’s blogでは、ミレーナを入れてからの生活、及びミレーナのメリットとデメリットをまとめた上で、迷っている皆さんの力になりたいと思います。

生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談③

ミレーナ挿入にあたり、診察・検査・手術・定期検診を行いました。今回と、次エントリに分けてご説明します。


◯診察 ミレーナを使ってみたいんですが...

 はじめに診察について。出産経験の無い患者にもミレーナを挿れてくれる病院でしたが、それでも担当医は積極的ではありませんでした。出産経験が無いと子宮口が狭く、ミレーナがはいらなかったり強い痛みを感じるからだそうです。

しかし私が低用量ピルを使えないことを考慮し、「やってみますが、痛みが強ければ我慢せず、中止しましょう」という判断を受けました。


 なお、「自分の生理の重さが月経困難症と認められるか不安。保険適用される?」という方も居ると思います。

私の場合は生理痛で受診履歴があったからか、生理の程度については詳しく聞かれませんでした。避妊か月経困難症治療か、目的を確認される作業もありませんでした。

どの程度の症状に耐えられるかは個人の身体や環境に依りますから、具体的な痛さの度合いや経血量よりも「私にとって、生活が難しいほどの生理痛・経血量がある」ことを伝えられればそれで十分なのだと推測します。

もしも貴方が勇気を出して相談した医師が「本当に我慢できないくらい酷いの?」「生でHしたいから、生理重いって嘘ついてない?」「痛みに弱いと赤ちゃん産めないよ」あたりを言ってきたら、即座に見限りましょう。

貴方を主体的な人間として尊重し、対等に治療を進める医師がきっといます。どうぞ見つけてください。



◯事前検査

 ミレーナが適切と判断されたら、次は検査です。子宮の形に異常がないか・性病にかかっていないかの確認と言われました。内診台(股をがばっと開く格好で固定されるソファ)に座り、エコーとおりもの検査を行いました。二つとも、膣の浅い部分に細い棒を挿れて行います。痛みは全くなく、合わせて3分もあれば終わりました。診察から検査まで、一度の受診で済みました。

検査自体は、婦人科検診に慣れている方なら落ち着いて受けられるものです。しかし初めて婦人科に行く方は気持ち悪く感じるかもしれません。その感情を我慢したり、情けなく思う必要はないです。

女医が居て口コミの良い病院を選ぶことと、内診台に下半身裸で上がる事態を避けるために(ズボンやミニスカートではなく)ゆったりしたロングスカートを履いて行くことをお勧めします。精神的に楽になります。

次のエントリ生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談④ - mizunitsuyoi’s blogで、ようやくミレーナ挿入です。手術の内容とともに、痛さの程度、しておけばよかった用意をお話しします

生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談②

➀の続きです。今回は、私がミレーナを選ぶまでの話。

診察・手術のことをすぐに知りたい方は、次のエントリ生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談③ - mizunitsuyoi’s blog

へ跳んでください。

 

◯私がミレーナを選んだ経緯

 先に結論を言うと、低用量ピルが使えない体質で、鎮痛剤にも限界を感じたのでミレーナを選びました。


 プロフィールの通り、私は生理痛が酷かったです。近年悪化し、慣れた市販薬では対応できなくなりました。

あるとき、低用量ピルの存在を知って婦人科を受診しました。しかし検査の結果、私は血栓ができやすい体質と判明。実は低用量ピルには血栓症という副作用があり、血栓症リスクが高いと処方できないことがあるのです。

代替手段として鎮痛剤を選びましたが、処方された強力な鎮痛剤が効きません。医師に了承を得た上で用法容量の二倍以上を服用していました。

一年経ち、鎮痛剤以外の方法を探していたときにミレーナを見つけました。そこで知ったのは、ミレーナは膣から子宮に装具を挿れるという性質上、出産経験が無い人の使用は難しいということです。そのため、出産経験がなくてもミレーナを使わせてくれる婦人科を探しました。(というか、既に通っていた婦人科でそれが可能だとブログで知りました。いや低容量ピルがダメだった時点で説明してくれ!)


 ミレーナを選んだ経緯は以上です。私と同じように出産経験や性交経験の無い方で、ミレーナを使えるのか不安な方は多いと思いますが、結論ミレーナはそういった方でも使えます。是非、ネットや電話で対応病院を探してみてください。

しかし、出産経験のない女性がミレーナを挿れるのはかなり痛いです。次のエントリ

生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談③ - mizunitsuyoi’s blogでは、診察でミレーナ希望を伝えた時のことと、術中術後の経験をお話しします。

 
 

生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談①

ミレーナ(避妊リング、IUS)を月経困難症治療のために装用して半年が経ちます。ミレーナについて調べている人の助けになればと思い、患者目線の経験談をのこします。

はじめに。私は医師ではありません。文章は個人の感想です。ミレーナの詳細やご自身の月経困難症については専門医にご相談ください。貴方が親身で対等な婦人科医を見つけられることを願います。

目次 全五部に分けてお話しします
1. 筆者プロフィール
  ミレーナとは(かるく。詳しくは専門医へ)
2. ミレーナを選んだ経緯
3. 診察と事前検査
4. 術中、術後、定期検診
5. 実際ミレーナってどうなのか


◯筆者プロフィール
20代前半
出産、性交歴なし。がん検診経験もなし。
月経痛:酷い。かなり強い鎮痛剤を用法用量を超えて服用し、ギリギリ生活できる。
経血量:おそらく中の上程度。多い日で、「とても多い日用」タンポンを8hごとに使用。

 

 

◯ミレーナとは
 医学の素人が簡単に言うと、子宮に挿入するタイプの避妊具(100%の効果はないよう)の一種。見た目は小さなプラスチック片って感じ。

中でもミレーナは、生理痛や経血過多などの月経困難症を改善する効果に優れているようです。避妊と月経困難症改善という二つの用途のうち、後者の場合は保険適用のようです。


 ミレーナの効果は低用量ピル(生理を止めたり、緩和するためにのむ薬)に似ていますが、大きな違いは使い方と有効成分。

はじめに使い方。ミレーナは毎日のむ必要があるピルと違い、医師が膣から体内に挿れます。一度挿れると五年間効果が持続するかわりに、手術は痛いです。
つぎに有効成分。ミレーナとピルでは使われている成分が違うので、あらゆる理由でピルを使えない方にも可能性があります。

まとめます。ミレーナとは膣から子宮に挿れる避妊具(100%の保証はない)の一種。月経困難症の治療にも使える。低用量ピルと違って毎日の服用を必要としない代わりに、手術には痛みを伴う。ピルをのめない体質でも使える可能性がある。


 ここまでは、私が医師から聞いた情報などをもとにまとめたミレーナの概要です。(情報の正確性は保証しません。正確な情報は、専門医へ。)

さて、次のエントリ

生理痛改善のため、ミレーナを使った体験談② - mizunitsuyoi’s blog

からは、私の実経験をお話しします。選んだ経緯は?出産経験がなくても大丈夫なのか?どのくらい痛い?といったことにもお答えできればと思います。